「なんだか不安な気持ちになりました。」
私が退任する旨を社内発表したとき、あるベテラン社員はそう口にしました。
その場にいた社長はすかさず、こう返しました。
「具体的にどんなことが不安ですか?」
すると、彼はこう返しました。
「いや、いまはただ漠然と不安な気持ちになりました。」
私は胸にグッとくるものを感じながら、何だか申し訳ない気持ちになりました。
普段はあまり喋らない彼のその声は、まさにリアルな感情を吐露していると感じたからです。
漠然とした不安、それは先の見通しが浮かばない時に感じるものであって、
人間が最も恐れる恐怖のひとつ、「先が見えない」ことに対するもの。
仕事でもプライベートでも、この感情に対してどのように向きあえば良いのでしょうか?
どうすれば安心するか、考えてみる。
ひとつめのアプローチは、不安という気持ちに対して反対の感情をぶつけてみることです。
不安に対して、どうすれば安心(満足)できるのか?
今回のケースの場合、私が辞めなければその不安は生まれなかったことになりますが、
他人の決定事項を覆すことなど、そう容易くできることではありません。
となると、次にできることは現実にまずは目を向け、何が出来るかを考えれば良いのです。
そのためにはどうすればよいか?
それは、安心(満足)するための要素を洗い出し、
一つ一つの要素に対しての解決法を見つけ出すこと。
そして、その時に考えられる解決法を出来ることから淡々とやっていくのみです。
大事なのは、気負い過ぎないこと。
物事を深く追求するのは大事なことですが、
常に現実的な観点を持ち合わせていないと、自分の首を絞めるだけです。
特効薬など安易な方法は考えずに、とにかく目の前の現実に目を向け、
一つ一つ、着実に片付けていくことを考えてください。
すると、漠然としていた「不安」は徐々に薄らいできて、
具体的な「課題」へとその姿を変貌させていくことでしょう。